CHAPTER 016

『ルシアンの青春』とMinor Swing

『ルシアンの青春』、フランスの映画作品。舞台はナチ占領下のフランスの村。ある少年がフランスのレジスタンス運動に参加しようとするも断られ、その反動もあってナチ側の組織に入ってしまう。10代の少年からすると(偉そうに感じていた)年輩の人々よりも、上の立場になれたことは一種の快感でもあったのだろう。ナチの下で目一杯働いて同胞であるフランス人を取り締まる。その少年の名前がラコンベ•ルシアンだ。(ルシアンの青春、は邦題であって、正式なタイトルは彼の名そのものとなっている)

 

 

そんな中、彼はたまたまユダヤ人の女性、フランスと知り合って一目惚れをする。(彼女がユダヤ人であることを隠して)ナチの開催するパーティーなどに連れていったりするも、彼女の父親が激怒。父親がゲシュタポに抗議しにいくとユダヤ人であるとばれ、彼はドイツに移送される。フランスが祖母と二人と暮らすようになったところ、彼女たちの強制移送の命令がルシアンに下る。ルシアンは君を守りたい、とフランスに話を持ちかけるも信じてもらえない。

 

 

何度も説得を試みるも、祖母を見放すことはできない、と言い続けるフランス。それならば、と三人一緒に逃げることをついに決心。祖母も連れて逃げている最中に(やっと心を開いた)フランスが自然の中で穏やかな笑顔をルシアンにむける。ルシアンはそれに対し不安そうで空疎なまなざしで何か物思いにふける。その表情と共に映画は締め括られ、同時にその後の彼らも知らされることになる。

 

 

映像も美しく、フランスの映画職人ルイ•マルらしい作品。冒頭は草原を自転車にのってルシアンが走る風景なのだが、その音楽はジャンゴ•ラインハルトのマイナースウィングだ。他にパーティーなどでも数々のジャンゴの曲が流れる。

 

 

今年は戦後80周年ということもあって、日仏学院で10月から毎週末に日本とフランスの戦争に関する映画を放映するらしいけれど、その中にこの作品も入っていた。あとは『ヒロシマ、モナムール』とかも。どちらも映画館では見たことがないから見てみたいけど、日程があうだろうか。あと日本初公開のレジスタンス運動のドキュメンタリーもあるらしい。以上、日仏学院とは何も関係ないけれど、宣伝。

 

 

もう少し音楽の話も。マイナースウィング、何百回も演奏してるだろうけど、飽きたことはない不思議な曲だ。ジャンゴの演奏はもちろん教科書みたいになってるし、他の人でも名演だらけだ。個人的に忘れられないのはフランスのDjango D'orという(大袈裟に言うと)ジャズやインスト音楽のアカデミー賞みたいのが当時あって、友人の計らいでリハからそこに入れたときのこと。そのデモンストレーションとしてマイナースウィングが演奏されたんだけど、左からバイオリンのディディエ•ロックウッド、あとはギタリスト。パトリック•ソッソワ、ロマーヌ、ブールー•フェレ、エリオス•フェレ、トマ•デュトロンの計六人。そのときにリハでなぜかロマーヌが何度もピックを落としてリハのやり直しになって、エリオスが手を叩いて爆笑していた。でもそのとき一番個人的にグッとくるソロをとったのはロマーヌで、本当にかっこよかった。

 

 

それから何年かすぎて。不思議な縁でブールー&エリオスと、また別件でロマーヌと、それぞれ都内で演奏したけれど、エリオスはそのときのことを覚えていて笑っていたが、ロマーヌ自身は「そんなことあったっけ?」てな感じだった。そういうものである。

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