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『黒猫、白猫』とBubamara
昔話。パリの言語学校に入って最初の授業、隣の席に座ったのはアイスランドの青年だった。話してみると、彼は映画の勉強をしたいという。どんな監督が好きなのか聞くと即答でエミール•クストリッツァと言う。知っているか聞かれたので『黒猫、白猫』は見たよ、と答えると彼は親指をたてた。音楽もすごくよかった、と話すと彼は数日後そのサウンドトラックのコピーCDを持ってきて渡してくれた。そのときに「でもクストリッツァといえば『アンダーグラウンド』だぜ」と言われた。
『黒猫、白猫』はユーゴスラビアの映画で、あるヤクザが自分の妹と金を貸しているところの息子とを結婚させようとする話。でも妹もその相手も他に好きな人がいて、なんとか式をぶちこわしにしようと企む恋愛コメディだ。カサブランカ、ゴッドファーザーなど過去の名作映画を彷彿させるパロディーも多い。
その音楽は哀愁あるジプシー調のものから激しいものまで、いわゆるジプシーブラスがメインなんだけど、ドラムスやエレキギターなんかも入ってロックの要素もある。それでいて映画音楽らしさもあって個性的だ。
さてアイスランドの彼と知り合ってから何ヵ月も経った自分の誕生月の頃、フランスの友人からコンサートに誘われた。ゴラン•ブレコビッチのコンサートのチケットがあるという。「クストリッツァ知ってる?その音楽やってる人よ」と言われ『黒猫、白猫』は好きだよ、と返すと「ゴランが関わってるのは『アンダーグラウンド』だけどね」と言われた。またもや『アンダーグラウンド』。彼女はかつて映画関係の仕事をしていたらしく、クストリッツァとも何度も会ったことがあると言っていた。
とにかくそのコンサートに行ったら、なんとシャンゼリゼ劇場。ステージにはやっぱり管楽器とロックバンド、さらに後半にはブルガリアの聖歌隊も加わり、満員のシャンゼリゼ劇場も大盛り上がりだった。『黒猫、白猫』の曲はやらなかったけど、コンサートを聞いて「あの映画、これを意識したのか」と思った。
そんなことを思い出しながらつい先日、『黒猫、白猫』をみたものでなかなか感慨深かった。テーマ曲はBubamaraというもの。ちょっと聞いたらきっと「あー、こういう音楽ね」とすぐにピンとくると思う。東欧民謡、ジプシー曲を遊び心をまじえながら(悪くいうと、ふざけながら?)作っているのが目に浮かぶ。たまに聞きたくなって自分でもかけているときがある。
そうそう、この作品自体も遊び心は同じで、最後がドリフみたいなコミカルなオチながらカサブランカの「新しい友情の始まりだ」で終わっていたり、Happy Endという文字が出るのも新鮮だった。(余談だけど何年か前に『アンダーグラウンド』を初めて見た。名作でコミカルな要素もあるけど、こちらと比べるとややテーマが重いかなと思った。だからこそその後に『黒猫、白猫』が生まれたのかもしれない。機会あればこれも書きます)
HAPPY END
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