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『アパートの鍵貸します』と『蛍の光』
年明けの関わる話を何か、と考えてみた。最初に思いついたのはだいぶ昔に読んだ『曽根崎心中』。除夜の鐘が鳴り響く最後の場面が叙情的で印象に残っていた(というか、それ以外あまり覚えていない)。でもいかんせん悲しい、辛い。ということでせっかくなら明るいものにしよう。映画『アパートの鍵、貸します』。
監督はビリー•ワイルダー。彼の作品は『麗しのサブリナ』『昼下がりの情事』、前に触れた『お熱いのが好き』も含めてタイトルまで有名になっている。監督の名前なんかよりも(見たことのない人もなんとなく)タイトルの方が親しみをもって知られている。巨匠だの、問題作だの、と流行るよりも実に潔い。こういうところもワイルダーらしくてかっこいい。
保険会社員バクスター(ジャック•レモン)は自分の部屋の鍵をよく上司に貸している。上司はもちろん各々の女性との情事のために借り、その結果バクスターはコツコツと出世する。そんなバクスターはエレベーターガールのフラン(シャーリー・マクレーン)に恋をしていて、愛想良く話しているものの、なかなか誘いに乗ってもらえない。ある日バクスターは部屋にあった女性の手鏡を上司に渡すが、後日フランと話している時にその持ち主が彼女であると気づいてしまう。
どうもこんな書き方をすると安っぽいメロドラマみたいになってしまうけれども、それは私の表現力不足の問題。ぜひ映画そのものを見ていただきたい。有名なので見る方法もたくさんありそう。コミカルでオシャレでどこを見ても引き込まれる。バクスターがフランの名誉を守ろうと嘘をついたり(それで殴られたりする)、フランの方もバクスターの出世のために言葉を飲んだりする。どちらもいじらしくて人情味があってとても良い。フランは可愛い。個人的にも大好きな作品で、テレビなどでやっているとやっぱり見てしまう。
そうそう、年明けの場面。色々あって上司とフランは大晦日の夜を共に過ごす。そこで年明けた瞬間にかかるのがスコットランド民謡の『蛍の光』。その曲が終わってから物語はエンディングへ疾走していく。色々な意味で。
日本でスーパーなんかの閉店時にかかる気もするけど、実はあれは『別れのワルツ』というものらしい。『蛍の光』は四拍子、ワルツの方は文字通り三拍子。日本人が編曲したもので、日本ではそちらの方が馴染んでしまっている。良いか悪いかはわからない。かつて某プロ野球チームが相手選手が退場、交代するときにも流していたが、あれも『別れのワルツ』だ。
(と思ったが、歌っているのだからあれは蛍の光だったか。いずれにせよ本来年明けなどに歌う曲を退場で歌うのは、日本の「閉店時」などのイメージである気がする 加筆1/15)。
実はこの映画のテーマ曲自体がとても綺麗なワルツで、かつて譜面を作ったぐらい気に入っている。(ただし演奏したことはない、そんなものである)その曲はもちろんオススメなんだけど、年明けということで『蛍の光』の話になった。ともあれ今年もよろしくお願いします。
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